NNGKの楽曲制作について

NNGKの楽曲制作について

本項ではNNGKが詞・曲を作る際に行っていることを記述していきます。一般的に紹介されていることと違っていたり矛盾するかもしれませんが、あくまでもNNGKのやり方としてご覧ください。

歌詞を考える

歌詞はテーマを決めずにまず短いフレーズを思いついてから広げていくことが多いです。

広げ方でテーマを固めていきます。

歌詞を考える際に使うテクニックの一部を紹介します。

連想

例:闇の中に蠢く

闇といった場所や蠢いているものは何かを考えましょう。

夜を表しているのか、暗い場所なのかによって展開が変わっていきます。

反復

同じ音節や言葉を繰り返します。

日本語オノマトペは短い音の反復にしやすいです。既存の楽曲と被りやすいのが難点です。

例:キラキラ、ぷよぷよ、サラサラ、ドキドキ

単語の反復は、大事なことを強調したいときにします。動詞や形容詞を使用すると良いと思います。

例:嫌い嫌い嫌い、痛い痛い痛い、赤い赤い赤い

踏韻

西洋の詩の表現に使用されるテクニックで、語尾の音を合わせます。

過剰に行うと言いたいことから外れてきてしまうので、無理に優先することはありません。

例:君に期待 関係絶対 維持したい いつか崩壊

倒置

説明するものの語順を反対にすることで歌詞っぽい表現になります。

例:青い海にイルカの群れが現れた → イルカの群れが現れた 青い海

比喩表現

そのものを直接表現することは説明であり、内容の理解に気を取られてしまいます。歌詞っぽい表現とは言えません。場面を想像させるキーワードを使用しましょう。NNGKは聴いた人が自由に解釈する余地を残したいと考えます。

例:泣いている僕の正面に君が居る → 君の瞳に映る僕の顔

曲の土台を作る

歌詞がある程度まとまったら、曲の土台を作ります。歌詞はメロディーの都合で、削られたり変更されたりしてしまうので、多めの文章を用意しておきます。

曲調は歌詞の内容によってある程度想定されています。特定のジャンルやテーマ、使用楽器縛りなども個人的に用意してあるのでそれを加味して決めます。

メインのDAWはStudio Oneです。

DAW上にドラム音源をトラックに呼び出し、ベースとなるリズムを作っていきます。

なんとなくAメロ部分、サビなど分けたりもしますが、ずっと同じリズムで長い時間繰り返すということもします。メロディーを作れる長さ分くらいを作ります。

ドラムについて

ドラムは主に、Steven Slate Drums 5.5を使用、その他、Studio One 付属のImpactにサンプルを読み出して使用します。入手したばかりのサンプルを使ったりすることが多いですね。

基準ボリュームも決めてしまいます。マスタートラックにVUメーターを指して-18dbに設定し、3~5くらいまで針が振れるようにします。

そうすると全トラックを入れ終わったくらいにちょうどいい音量になります。

テンポを決める

曲調を決める重要な要素がテンポです。ちょっとでも違うと与える印象が違うのでこの設定で曲の運命が変わってしまいます。

NNGKは1コーラス作るところまで進んだらほぼテンポの変更はしません。

メロディーを付ける

基本的には詞先で作りたいと思っています。メロディーは歌詞に合わせて鍵盤でつけていきます。ピアノ音源で1フレーズ分くらい弾いて確かめてからVocaloidエディターなど声を聞きながら打ち込んでいきます。

女性のキーだとトップをC#かDくらいにして1オクターブくらいに収めるようにします。人が歌ってすぐ覚えられるような音域にしています。

声のトラックはあらかじめコンプを掛けておいて聞きやすくしておきます。

EQ→コンプ→JST Gain Reduction→EQがいつもの感じですね。
何でもいいんですが浅め→深めにコンプを多段がけするイメージです。

最近はあまりやりませんが、温かみが欲しいときはFairchild670を使います。ほぼ通すだけくらいでほんの少しシルキーな音になるような気がします。

EQは150Hzくらいを上げておくと芯が出ます。

NNGKのポイント

複調

もっともNNGKで大切にしている重要なポイントです。フレーズ毎にスケールを選択します。区切りは自由で、上りと下りでスケールが異なることもありえます。全音階である必要もありません。

この時点でダイアトニックな進行を決めてしまう必要はありません。

かといって自由すぎると変な曲になってしまうので、セクションごとに1つの中心となる音は決めて、近親調あるいはモーダルインターチェンジ的な変化をさせてじわじわと境目を曖昧にするイメージです。

あくまでもメロディーの流れとして不自然でなく、音楽的なメロディーであることは大前提です。

1つの調の流れは同時に別の調の流れも内包していることを意識しましょう。

ベースラインを入れる

ピアノでメロディーをベースラインを作れたら、トラックを作り、ベースを打ち込みます。

ベースの音源はその時の気分のシンセでいいでしょう。新しく手に入れた音源を試すときもよくあります。

リアル志向であれば、MODOBASS(Amplitubeと同じ操作感のアンプシミュレーターが入っている)が今のところ一番音作りし易いです。Amplitubeに慣れているというのもあります。

上モノを入れる

ベースラインが決まったらなんとなくコードも決まっているので上モノをいれます。

コードトラックを入力しておいてそれを参考に仮で演奏します。

ギターを入れる場合は、オーディオインターフェースに直挿しで入力し、Amplitubeでエフェクトをかけて録音します。弾くときは必ず足台を使いましょう。

打ち込みでもいいんですがエフェクトはやはりAmplitubeを使うとリアルですね。

その他シンセも手に入れたばかりのサンプルやシンセを使うことが多いです。

コードが違ったらコードトラックは直します。

構成を拡張する

1コーラスできたら、コピー&ペーストで繰り返しをつくり、2番、3番とセクションを増やします。この時点で曲の長さ、エンディングの迎え方が作成できると楽です。

足りないパートを追加する

ソロパートや変なことをして良いセクションを追加します。

トラックの音を作り込むのはだいたいできてからですね。

ここまで来るとベースとメロディーだけで形になるように作っているので、これで充分な気がしてしまって、何を足したらいいかよくわかんなくなるのが難点です。

ミキシングについて

ここまででバランスも取りながら作ってしまっているので、全部リセットしてミキシングし直すということは今はやっていません。

ミキシング環境

基本的にはモニタースピーカー(iloud micro monitor)で行います。ヘッドホンはあくまで別環境のチェック用という認識です。ヘッドホンはヤマハhph-mp8です。ヘッドホンでやっても最終調整はやはりスピーカーからでないとバランスが取れません。定位の問題と机や壁の反響、共鳴が混ざると全然違います。

作業時の音量は耳に負担をかけないようできるだけ小さめに、かつ全部のトラックが聞こえるくらいにします。体感、普通に部屋のテレビをつけているくらいの音量で行います。

調整すること

トラックをソロで聞きながらやって音作り的にやるより、全体のバランスを聞きながらのほうがためになると思います。

EQ

低域を調整する

ベースやキックの低音をEQで調節する

60Hz以下は増やしたほうがモダンな感じはします。

邪魔になる低域はピンポイントでカットします。

巷の本ではローカットの重要性が説かれていますが、

マイクで録音したトラック以外は邪魔にならなければカットする必要はないと考えています。

中域を調整する

100~200hzは一番帯域で、増やすとこもってしまうので、作りながら重ねた自然な感じでいいと思うのですが、足りない場合は足すこともあります。

前に出したいトラックは2750Hzを上げて、邪魔なトラックは700~900Hz を下げます。

耳につくひずみやシンバル音、アタック音などは4~5kHzをピンポイントで下げると気にならなくなります。

高域を調整する

ドラムはシンバルを強調する意味で10kHz以上をハイシェルフで持ち上げます。

その他明るくしたいトラックも同じ考え方でいいと思います。

一部シンセやギターなどは高域を削ったほうが良い結果になることもあります。

重要なのはそのパートの役割に合った調整です。

コンプ

コンプレッサーは使い方が難しく、未だにこうしたらいいという正解もありません。

音を大きくするプラグインではなくて、あくまでも圧縮するものだと認識しましょう。

下手にかけると楽器のダイナミクスを削ぐだけで悪影響しかありません。

各トラックへかける場合は、浅めにかけるようにします。

歪ませたギターやシンセには基本的には必要ないと思います。

手で弾いたものや歌など音量のばらつきがある場合に活用するものです。

ただしアナログコンプを模したもので若干の歪みを加えるためにかける場合はあります。

ドラム、パーカッションなどのリズムトラック、一部シンセにです。

エフェクトをかける

FXトラック、バス・トラックを作ってエフェクトをかける場合があります。

FXトラックでプラグインを使用する場合は、ボリュームは0dbの位置、WET100%にして

センドレベルでかかり具合を調節します。

ボーカルのリバーブ

FXトラックを作ってセンドで送るため、リバーブのプラグインを使用します。長年使っているのはPhoenixバーブですがNeoverbもいいですね。プレート、ホールなど2秒くらい。

タイプの違うリバーブを重ねることでマンネリ化を防ぐことができます。

ボーカルのディレイ

リバーブとは別にFXトラックにディレイを挿します。テンポディレイで2つ、四分音符と八分音符のディレイをわずかなフィードバックにしておくとリッチなボーカルになります。

楽器のリバーブ

ボーカルとは別のFXトラックを作ってリバーブを挿します。ホールが基本ですが、お好みで気分でいいと思います。ドラムはフレーズが濁らないくらいまでにしておきます。ソロで聞きながらかけたほうがやりやすいです。ベースは普通はかけません。

後述のバス・トラックでまとめてからかける場合もあります。

バス・トラックへのエフェクト

まとめるメリットとしてはパート毎にボリューム調整がやりやすくなるということと、

パラレルコンプという手法がつかえることです。

ダイナミクスを犠牲にしたくないがコンプはかけたい場合、バス・トラックをつくって混ぜるという方法があります。

コンプは入力信号で効果が変わるものなので、この場合センドは0dbにしておいてバス・トラックの

ボリュームで混ぜ具合を調整します。

深めにかけて歪むようにして、少しずつ混ぜていって音が深くなるようにします。

あえてかけるコンプは、アナログを模したものがいいでしょう。

ボリューム・パン調整

作っている際にバランスも取っているし、パン振りもだいたい終えているのですが、

やはりできるだけ伴奏の音も大きくしてあげたいので調整します。

一通り終えたらヘッドホンでもバランスを聞きます。

どこかのトラックが極端に違う場合はやはりバランスが取れていないのでやり直しましょう。

マスタリングについて

マスタートラックで深く追い込まないといけない仕上がりではそもそもちゃんとできていない可能性がありますので、この段になってその問題がでてきたら、音作りやバランスを見直します。

エフェクト

全体の印象を左右するEQですが、

こもっていると感じるときは250Hz をQを1、1db下げます。

少しだけ10kHz以上をシェルビングで足すこともあります。

またStudio Oneだけの機能ですがミキサーにTapeのエフェクトを加えて歪ませることもあります。

最終段にOZONEまたはマスタリングエフェクトを入れます。

音圧の上げ具合ですが、K-systemで8~10くらい、あとは歪みが目立たないくらいにします。

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